ピストイアホールのパイプオルガン
町民会館3階のピストイアホールに設置されているパイプオルガンは、故辻宏さんが昭和63年(1988年)に製作したものです。
使われている木材のすべてを白川町で調達し、交流のあるピストイア市にちなんでイタリア様式となっています。
綺麗な緑色は、辻さんが白川町をイメージしたもので、装飾の金色と相まって一層綺麗に見えます。
以下は辻さんが完成時に残したメッセージです。
世の中には色々な楽器があり、それぞれに良さがあり、個性があります。
ギター、バイオリン、フルート、琴、鼓、尺八等々誰でもその音色、形を思い浮かべられます。
オルガン(パイプオルガンのこと)といえばそれらしい音色を誰でも思い浮かべるでしょう。
しかし、形はどうでしょうか。
皆さんはこのオルガンをご覧になって、ああこれは自分の知っているオルガンだとお思いになったでしょうか。
「え!これがオルガンなの?」と思われた方もいるかと思います。
パイプオルガンの「パイプ」とは「管」のことで、それは笛のことです。本物のオルガンは笛が鳴る楽器です。
尺八やフルートは1本の笛でメロディーが吹けますが、オルガンでは音階のそれぞれの音を1本ずつの笛で鳴らします。
そのために少なくとも鍵盤のキーの数だけ笛が必要です。
この1組の笛を「ストップ」と呼びます。
音色や音の高さの違う何組かの「ストップ」があれば多彩な音楽表現ができます。
それで、「ストップ」が1つか2つの小型のオルガンから、何十というストップ、何千本の笛を持ったオルガンまで造られるわけです。
オルガンの大きさは、このようなわけで使われる目的や場所に合わせて自由に決められます。
中略
このオルガンは、わが国でただ1つのイタリアオルガン音楽を中心に研究する白川町・オルガン音楽アカデミーに合わせてイタリアの伝統的響きの再現を目指しています。
太陽がいっぱいのイタリアの風土で生まれた明るい、楽しい響きは、きっと皆さまにも楽しんでいただけるものと信じます。
昭和63年7月17日
辻オルガン代表 オルガン建造家 辻 宏
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